「月くんの手作り料理が食べてみたいです。」

またか…
月は何度も聞かされている竜崎の我が侭に、辟易としたため息を吐いた。
それでもなお花咲く時に風は吹きて
いつも「気が向いたら」と云って、はぐらかしていたが、さすがになかなか諦めない竜崎に嫌気が差していた。
竜崎の性格上、一度作ってやって満足するとは思えない。
再び何度も強要してくるに決まっている。
だからといって、このまま誤魔化し続けていても、状況は余り変わらないだろう。

とすると、打開策は…

「よし解かった。作ってやるよ。」
「え……?ほ、ホントですか?!」
「ああ。ただし…」
「ただし?」
「調理中の姿は、決して覗かないこと。」
「! そ、そんな…!」
「それが守れないのなら、絶対に作らない。」

まるで、鶴の恩返し。
竜崎に恩なんてないから、恩返しには決してならないけれど。

「まさか、毒物を盛るなんてこと……」
「……ん?」
「ん?って何ですか?!やるつもりなんですか?!やっぱり、貴方はキラですね!」
「僕はキラじゃない。」

そんなすぐ足がつくあからさまな殺し方、月はしない。

「材料は僕が指定するから、竜崎が用意していいよ。調理場も、ここを借りよう。」
「しかし、そっとポケットに毒を忍ばせるかも…」
「…だったら、服も君が用意していいよ。それに着替えてから、調理を行う。」
「それでも、作っている姿を見なければ安心できません。」
「なら、この話はナシだ。」
「解かりました、それで譲歩します。」
「カメラもなしだぞ。」
「え?!…わ、解かりました。」

どうせ竜崎のことだ、こっそりカメラを仕掛けるに決まっている。
それでもいいと思った。
僕に考えがある、と月は不敵な笑みを浮かべた。


数日後、月はさっそく竜崎のもとを訪れた。
もちろん、竜崎に手作り料理を振舞うためである。
軽い(セクハラで訴えられるくらいの)身体検査を受けてから、月はさっそく用意された服を受け取った。
その服を見て、月は諦めたような呆れたような目を竜崎に向ける。

「まあ、予想はしてたけどさ…」
「さあ!着替えてくださいv」

竜崎が用意したのは、メイド服だった。
これでもかというほどに、レースで飾られている。
絶対、ここ数日間のうちに特別に作らせたに違いない。

「まあいいけど。」
「そう云ってくださると思っていました!」
「料理→エプロン→メイドのプロセスは、簡単に思いつくよ。」

竜崎が涎をたらしながら見ていることなどまったく気にせず、さくさくと着替え始める月。
着てみると、ずいぶん丈が短い。
屈むと中が見えそうである。
試しに、ちろっとお辞儀をしてみることにした。
ついでに、せっかくこの服を着ているということで、あれも試してみる。

「お帰りなさいませ、ご主人様。」
「!!! す、素敵ですぅー!!」

棒読みで云ったのにも拘らず、噴水のように鼻血を吹き上げる竜崎。
明らかに致死量の鼻血だったが、大丈夫なのだろうか?

「クラクラします…」

貧血だよ、と月は思った。


キッチンに入る一歩手前で、ふんがふんがと鼻息荒くぴたりとくっ付いてきた竜崎を振り返る。

「絶対に、ぜぇーーったいに、覗くんじゃないぞ?」
「ハイ!」

元気溌剌な返事が、逆にとっても怪しい。
竜崎の顔面に思いっきり一発拳をお見舞いすると、竜崎が再びドアに取り付く暇を与えず、月はキッチンのドアを閉めた。
もちろん、カギも忘れずに。

「ひ、ひどいです…」

ドアの向こうから、そんなくぐもった声が聞こえたが、月は聞こえなかったことにした。


さて。
月が作ろうとしているのは、竜崎の好物であるケーキである。
とはいえ、素直に作るつもりはサラサラない。

『ライト~!リンゴがあるぞ!リンゴ食っていいか?!』

竜崎に用意させた材料の中に、リンゴを見つけたリュークが騒ぎ出す。
今回これが、重要なアクセントとなる予定だ。

「ダメだよ。」
『え~。』

調理を始める前に、まずやらなければならないことがあった。
材料とキッチンを物色していると見せかけて、発見したものににっこりと微笑みかける。

「覗いちゃ、ダメだよ。」

ぐしゃ、バキ!

そんな―――っ!という悲痛な叫びが、部屋の外から聞こえた気がしたが、やっぱり気のせいということにした。

『ライト、こっちも。』
「君の考えることなんて、お見通しだよ。」

バキッ

『あと、こっちもだ。』
「だって、約束だったろ?」

覗かないって。
身体検査と着替えをしている間に、リュークにカメラの位置を探させていた。
あとはそれに従い、すべて叩き潰していくだけである。

ゴシャッ

『この食べ物が詰まってる箱、”れいぞうこ”ってやつか?その2段目と。』
「こんな格好までした僕を、」

ピッ、ガコン、パキッ

『あと、水が出るここで最後だ。』
「信用できないわけじゃないだろ?」

ベシャッ、ガキッ!

最後の設置カメラを足で思いっきり踏み潰すと、もう見えないだろうけど、カメラに向かってにっこりと微笑んだ。
無事除去作業を終えると、月はご褒美に、リュークにリンゴを1つ与えた。

『ったく、死神使いがホント荒いぜ。』
「芯は残せよ?怪しまれるから。」
『えー。丸ごとが美味いのに…』
「もう1つあげるから。」
『…まあ、我慢してやるか。』

人間くさい食べ方でリンゴをほうばるリュークを横目に、月はまず、リンゴの皮を剥き始めた。
それはそれは、ベテラン主婦もビックリなほど薄く、まさに皮だけを剥いていた。

「これくらいでいいだろう。」

あっという間に、20個ほどのリンゴを剥き終えた月は、剥いた皮を少しだけ水を張った鍋に放り込んだ。

『こっちを使うんじゃないのか?』

キレイに剥かれたリンゴを指差すリュークに、月は真剣な顔で答えた。

「実を使ったら、美味しくなっちゃうだろ?」
『ああそっか。……ん?それで、いいんじゃねーのか?』
「竜崎以外に食べさせるなら、もちろんそうさ。」

要約すると、竜崎に食べさせるからこそ、というわけである。

「僕の作るモノが不味ければ、二度と作ってくれとは云わなくなるだろう?」
『ああ、なるほどな。』

つまり、そういう算段なのであった。
たとえ、お世辞で「美味しい」と云ったとしても、「嘘吐き!」と云って叱れば、作らない理由になる。
まさに、完璧な作戦であった。

次に月は、残った実を芯を取り除いてミキサーにかけた。
粉々に砕かれ、液体状になったリンゴ。
それを麻布に包み、力強く水分を絞る。

「リンゴジュースの出来上がり。飲む?」
『ん~。』

差し出されたボールの中の液体に、指先をちょこんとつけて、リュークは味見してみる。

『普通に美味い……が、やっぱリンゴは丸ごとじゃねーとな。』
「…ちっ。これで納得するなら、これからは市販のリンゴジュースで安く済むと思ったのに。」
『何か云ったか、月?』
「いや、何でもないよ?」
『……。でも、それどうするんだ?』
「欲しいなら飲んでいいよ。どうせ捨てちゃうし。」
『捨てるのか?!』
「使うのは、こっち。」

麻布に残ったリンゴのカスを掲げて、月は不敵に笑った。

「これをさっきから煮込んでいる、皮から得られたエキスに漬け込んで、ケーキの生地に練りこむのさ。」
『ずっと思ってたが、その皮を煮込んだやつって美味いのか?』
「いや、きっととんでもなく渋いと思うよ?」
『”しぶい”?』
「つまり、不味いエキスってことさ。」

それの染み込んだリンゴのカスが練りこまれたケーキ。
想像するだけでも、不味い代物である。

「竜崎の反応が楽しみだな~♪」

ウキウキと歌でも歌いだしそうなほど上機嫌で、月は調理を続けた。


「……ずっと此処で待ってたのか?」
「中で1人で、何ブツブツ云ってたんですか?」

天岩戸(キッチンの扉)が開かれると、そこには竜崎が耳をピタリと壁につける格好で待っていた。
そんな行動も予想できていたので、リュークとの会話は全て小声にしていた月は、まったく慌てない。
ただ、4時間以上もこんな寒い所で待っていたことに呆れただけである。

「紅茶とコーヒー、どっちで食べる?」
「ミルクティーでお願いします。」

うまく誤魔化された気もしたが、月が自らお茶を淹れてくれることなど初めてなので、竜崎は即座に答えた。

「そうか、緑茶がいいのか。」
「我が侭云って、スミマセン。ストレートティーでお願いします。」
「クスクス、冗談だよ。ミルクティーくらい淹れてやるよ。」

なんだか上機嫌の月。
手作り料理を食べさせた時の、私の反応への期待かと、竜崎は思った。
可愛い人だ、と竜崎はほっくりと微笑む。
ある意味当たっているが、真意はまったくの逆であることなど知らず、竜崎は先に部屋で待つように云われて素直に従った。

「お待たせ。」
「ずいぶん時間が掛かりましたね。」
「君のためだからね。」

茶葉を、しっぶい味がするようにいっぱいいっぱい煮出した一品なので、時間と手間が掛かっていた。
もちろん、砂糖なんて一欠けらも入れていない。
月の答えにきゅんきゅんしている竜崎は、月の不敵な笑みに気付かない。

「さあ、どうぞ召し上がれ。ご主人様。」
「は、ハイ!」

向かい側のイスに足を組んで座り、優雅にコーヒーを飲む月に目を奪われながらも(特にスカートの中)、ケーキに注目した。
シンプルなスポンジケーキに、生クリームとミントの葉っぱが添えられている。
微かに、リンゴの香りがした。

「た、食べてもいいんですか?」
「そのために作らせたんだろ?」
「月くんは頂かないんですか?」
「僕はそういうの(不味いモノ)は苦手なんだ。」
「そうですか。――で、では、いただきます!」
「どうぞ。」

さくっとフォークで切れ目を入れて、たっぷりと生クリームをつける。
その生クリームも、砂糖を一切使っていないので、口に入れた瞬間、乳臭さが口いっぱいに広がるはずである。
キラキラと期待に満ちた視線を感じながら、竜崎は、ドキドキしながらケーキを口いっぱいにほうばった。

「…………」
「どうだ、僕の力作は?」

見た目は、いつも通りの無表情。
そこは少し期待が外れたが、フォークを口に突っ込んだまま咀嚼もしないで黙り込む竜崎に、月は可笑しくて笑い出したくなっていた。
つと、竜崎が紅茶に手を伸ばす。
流し込もうとしているのだろうが、そこに救いはない。

苦しめ竜崎!
そして、吐き出してでもみろ!
二度と僕に料理をさせるなんて、云わないように罵ってやる。

『こえー…』

死神の彼には、月から立ち昇る、邪悪なオーラが見えているようであった。

「月くん…」
「何だ?」

紅茶を含んでも黙ったままだった竜崎。
意を決したように、ごっくんと音を鳴らして口の中のものを飲み下すと、月の方を見据え呼びかけた。

「これは、貴方が本気で作ったんですか?」
「そうだよ。竜崎のために、心を込めて(不味く)作ったんだ。」
「そうですか。」

しばらく黙ってケーキを見つめていた竜崎だったが、不意に、にやりと口元を歪ませた。
見間違いかと思い、見直そうとしたが、竜崎がケーキを手に取ったことでそれに気を取られてしまった。

「……竜崎?」
「…………」

どうするのかと、怪訝な顔で見ていると、おもむろに竜崎はケーキにパク付き始めた。

「お、おい…?」
「…………」

無言のまま、一心不乱にケーキを食べ、食べては紅茶を飲み、更にケーキを食べ続ける。
呆気に取られている間に、竜崎はキレイにケーキも紅茶も完食していた。

「竜ざ…、」
「月くん。」
「! な、何だ?」
「ご馳走様でした。」

まるで、本当にとびきり美味しいご馳走を平らげたかのように、竜崎は月に微笑みかけた。
予想していなかった竜崎の行動に、月は内心どぎまぎした。
少しだけ罪悪感が頭をもたげて、謝ろうかとも考えた。
しかし、目的を忘れてはいけない。
二度と料理を作れと云い出さないように、釘をささなければ。
作戦を崩さないように、月は笑顔を装った。

「お、おいしかった?」
『んなわけねーだろ。死神界のリンゴより酷かったぞ。』

そのとおりだ。
リンゴを使ったケーキだからと、興味津々だったリュークに味見をさせたが、変な顔をしながら飲み込んでいたのを覚えている。
月の計算上でも、美味しいはずがないのだ。

…まさか、味オンチか?!

ひとつの仮定に思い至り、作戦の失敗を予想して、月ははっとした。
しかし、そうではないことが、次の竜崎の一言で明らかとなった。

「舌が痺れるかと思うほど、とっても不味かったです。」

そう云ったのである。
全部食べきるのは予想外だったが、あからさまに不味いと云われるパターンは考えていたので、月は少しだけ調子を取り戻した。

「不味いだと?!お前が作れと云ったから作ったのに、なんて言い草だ!
 だいたい、不味いなら全部食べるなよ!それに何だ、『ご馳走様』って!嫌味か?!
 もう、二度と作ってなんかやらない!!」

これで、もし「今度は練習して美味しいものを作れ」と云われたとしても、断る口実ができたことになる。
夜神月は料理がヘタ、という情報がインプットされることになるが、作れと云われなくなるのだから、逆にありがたいというものだ。

「何を怒っているんですか?不味いモノを不味いと云うのは、至極当たり前でしょう。」
「だ、だったら、何故全部食べた?!」

いつもの無表情。
乱されてはいけない。

「貴方が一生懸命不味く作ったモノだからです。
 私のために、わざわざ不味く作ってくださったのでしょう?」
「!」

読まれた!
しかし、相手はこれでも世界の名探偵L、予想の範疇である。

「フッ、バレたか。でも、これで僕がどれだけ料理なんて作りたくないのが解かっただろ?
 これに懲りたら、二度と僕の手料理が食べたいなんて……」
「また作ってください。」
「云うんじゃない…って、云う前から云うんじゃない!!」

先手を打たれたみたいで、負けず嫌いの月はムカッときた。
対する竜崎は、月の怒りなど何処吹く風で、ほくほくとした幸せそうな微笑みを浮かべ続けている。

「月くんが、私のために一生懸命その優秀な知恵を絞って、このとてつもなく不味い私の好物であるケーキを作ってくれた。
 それだけでも、私は嬉しかった。
 加えて、私が用意したものはどれも普通のモノ、完成品も見た目は完璧なのに、予想を越えたあの不味さは驚きです。
 私のために頑張った、貴方のそのひたむきな一生懸命さからは、愛を感じずにはいられません。」
「…………」
「私は、世界一の幸せ者です。本当にご馳走様でした、また作ってくださいね。」
「~~~!」

何だろう、胸に渦巻くこの気持ち。
とにかく何か我慢できなくなって、気が付くと月は、竜崎のことを力いっぱい殴っていた。
負けじと竜崎に殴り蹴り返されても、何回も殴り返し、また殴り返されと、しばらく2人は無言のまま殴り合い続けた。
傍から見ていたリュークは、『人間って解からねー』としきりに首を傾げていた。


数十分殴り合い続けた2人だったが、だんだんと疲れが見えてきた。
竜崎の蹴りが外れ、それを嘲った月の拳もまた外れた。
かくんと膝を折って跪いた竜崎に、月が力なく倒れこんできた。
とっさに月を抱きとめる竜崎。
お互い、肩で息をするのがやっとなため、しばらく言葉が発せられない。
先に息が落ち着いた(負けず嫌いだから無理やり息を整えた)月が、竜崎の耳元でぼそっと何かを呟いた。

「え…?」

不意のことで、驚いてしまい声をあげたのだが、聞こえなかったと判断した月は、今度はぶつけるように耳元で叫んでやった。

「莫迦かお前は!!って云ったんだ!!」
「い、いいえ。莫迦ではありません、が……」
「いいや、お前は莫迦だ!世界一の大莫迦に決まってる!!」
「何を、そんなに怒っているんですか…?」

ぬけぬけとそんなことを訊いてくる竜崎に、再び月に怒りが込み上げてくる。
もう一発ぶん殴ってやろうと振り上げた拳は、しかし竜崎によってやすやすと受け止められてしまった。

「理由もなく殴られる謂れは、ないはずですが?」
「……お前が、莫迦だからだ…」
「……月くんはご存知ないかもしれませんが、私、こう見えましても世界の名探偵と云われるLでして、」
「うるさい!そうだとしても、お前が莫迦であることに代わりはない!!」
「はあ…。まあ、そういうことにしまして、どういったわけで私は”莫迦”なんでしょう?」

バカ丁寧に訊き返す竜崎に、更に怒りが込み上げたが、利き腕は取られ、抱きしめられる形で拘束されているので動けない。
観念して力を抜いた月は、大人しく竜崎に抱きしめられた。

「…月くん?」
「――…う…」
「何ですか?」

肩に顔をうずめているために、声がくぐもってしまい、今度は本当に聞き取れなかった。

「一回で聞き取れ、莫迦!」
「はい、スミマセン。それで、何と云ったんですか?」
「……ありがとうって…」
「え…」
「ありがとうって云ったんだ!喜んでくれたお礼だよ!何か文句あるか!」
「月くんっ!!」
「わっぷ…!」
「月くん!月くん!!月くん!!!」
「く、苦しいよ、竜崎!は、なせっ…!」
「いやです!」

だって、耳まで真っ赤にして!
しかも、メイド服の格好で!
ときめきで死んでしまう!と竜崎は思った。
あまりに可愛い恋人の姿に、竜崎は力いっぱい抱きしめ、嬉しさいっぱいにキスを贈った。

「んぅっ…!はっ…、…りゅ、ざき……!」
「…いいですか?」
「は…ぅ……んっ、な、に…?」
「抱いてもいいですか?」
「!…なっ……」
「我慢できません。」
「うわっ…」

その場で押し倒され、スカートの中を弄られる。
こんなことなら、着替えておけばよかったと、後悔しても今更遅かった。

「莫迦…!離せ、竜崎!!」
「無理です。止まりません。」
「あっ…!」

このままでは流されるっ…

降り続けるキスの嵐と、自身を高めていく自分を知り尽くした愛撫に、月の頭の中は霞がかかりはじめた。
チラッと覗いた竜崎の向こうに、先ほど食べ終えたケーキの皿と紅茶のカップが見える。

「りゅ、竜崎…!」
「…何ですか?」
「ケーキが、残っているんだ!」

出したケーキは、焼いたケーキから切り出した一部である。
当然、さっき食べたケーキの何倍もの量が残っていた。

「…それが?」
「抱くなら、それ、全部食べろ!」

せめてもの意地悪として提案したことだったが、竜崎はにっこりと余裕で、

「もちろんですよ。」

と答えた。

「貴方を食べてからですが。」
「じゃあ、…いいよ。」

月は、くくっと笑いながら見ていた死神を睨んで追い出すと、見下ろしてくる竜崎の肩に腕を回した。

「紅茶もお願いしますね。」
「ああ。愛情込めて、とびっきり美味しいの淹れてやるよ。」
「……美味しく頂かせていただきます。」
美味しく頂くのは、月かケーキか…v
殴り愛させてみたら、思ったより長くなったよ。

...20060121
×おしまい