いつものようにサッカーをしてたら、転んだ。
転んだ場所が砂利だったから、色んなトコ擦りむいて、血が流れた。
身の内の熱に燃されて笑い死ぬなら素敵だね
ドクドクと血が染み出してくる。
いてー、いてーなこれ。
汗が沁みて、更にいてー。
絆創膏の入った救急箱を引きずってきて、応急手当開始。
膝も肘も、うわ、額もやったか、これ。
風呂入るのやだなとかブツブツ云いながら手当てをしていると、ニアがやってきた。
珍しい、コイツが歩いてるなんて。
レアだ、レア。
「どうしたんですか、メロ?」
「転んだ。」
ドジ、と思ったか判断つかないいつもの無表情で、ニアはそうですかと云って俺の前に座った。
何だよ、見るのかよ?
何も面白いことなんてしてないぜ?
「何だよ?」
軽く水で洗ったが、それでも頑固にこびり付いていた砂をいていて云いながら爪で穿って取り除く。
その作業を、面白いのかマジマジと覗き込むニアを、俺は睨みつけた。
「いや、赤いですね。血。意外です。」
「……俺は人間だ。」
「見れば解かります。」
なら意外ってなんだよ。
俺に赤い血が流れてるのが、そんなに変なことか?
「メロ、チョコレートが好きじゃないですか。」
「だから?」
「だから、チョコが流れてるのかと。」
こう、ドクドクと茶色い物体が…と、真剣な顔のニア。
何で俺、こんな奴に勝てねーんだ?
とりあえず、ムカついたから顔面一発殴っておいた。
か弱い(女より絶対よえーぞ、コイツ)奴は、ゴンと気持ちいい音を立てて後ろに倒れた。
「ばーか。」
「………痛い。」
「おそ!」
何でこんな莫迦な奴に勝てねーんだ、俺?
何でこんな莫迦な奴好きなんだ、俺?
むっくりと、ゾンビが蘇った時のように(見たことねーけど)起き上がったニアの顔を見て、噴いた。
「お、いっ…!ぶはっ!おま、鼻血出てんぞっ!ははっ!」
「え?」
「血、鼻血!」
間違いなく俺が殴ったせいで出た鼻血が、大いに可笑しい。
腹を抱えて笑っていたら、思わず擦りむいた肘を床に擦り付けてしまい、いてー!と叫んだ。
「お前も赤いぞ、血。」
「知ってますよ。」
「意外だな。」
「はい?」
こんな白い髪してるくせに。
こんな白い肌してるくせに。
こいつの中は、赤い血が流れているらしい。
傑作だ!
「アホ面~!ははっ!おい、早く拭けよ、鼻血。床に垂れんぞっ、はは!」
「…誰のせいだと…」
何でこんな奴好きなんだ、俺?
何でこんな奴可愛いとか思うんだ、俺?
何でこんな奴にドキドキとかしてんだ、俺?
「莫迦だ、笑える!」
「壊れました?」
「誰のせいだと思ってんだよ?」
「私のせいだとでも云うんですか?」
「云う。」
責任転嫁ですよ、それと云いながら、鼻に脱脂綿を詰めるニアが滑稽で更に笑った。
救急箱がちょうどあったからよかったな。
ああ、俺が使ってたんだっけ?これ。
忘れてた、ホント莫迦だ俺。
――嗚呼、笑える。
こいつが好きで笑える。
血が赤くて笑える。
自分が莫迦で笑える。
笑わないコイツはムカつく。
「笑えよ、莫迦ニア。」
「…気持ち悪いですよ、メロ。」
「うるせえ!」
もう一発殴ってやったら、今度は避けられて勢い込んで俺は倒れた。
すっかり忘れていた擦りむいた額が思いっきり床に当たり、ちょー痛くて涙が出て、笑った。
ニアはやっぱり笑ってくれなかった。
なに、これ?
気持ち悪いメロ!イタイ子だよ、これじゃ!
す、すみませ…こんなメロが好きで…
...20060412
×おしまい