名探偵L
「ねえ、松田さん。」
「何ですか、竜崎?」
「どうして月くんは、いつもあんなに私のことを誘ってくるんでしょうか?
「は、い?」
「あんなに色っぽく見つめてきたり、スキンシップを図ってきたり。
 はたまた私がケーキを食べている姿を、うっとりとした目で眺めているんですよ?
 月くんは私に、一体何を求めているんでしょうかねぇ?
 私のことが好き…なんでしょうか?言葉で伝えてくだされば、私だって…」
「…………」

ぶつぶつと云い募る竜崎を見て、松田は思った。
月は決して、竜崎を好いてはいないだろうと。

だって、月が竜崎を色っぽく見つめたことなど、一度も無い。
それは、憎しみさえ感じさせるほど睨み倒すことはあるけれど。
あれだけの竜崎からのセクハラ受ければ、誰だってあんな風に睨みつけたくなるというもの。

だって、月が竜崎にスキンシップを図った験しなど、一度も無い。
それは、確かに触れ合ったりはしているかもしれないけれど。
あれは“スキンシップ”などという可愛らしいものではなく、殴り合いだ。

だって、月が竜崎のケーキを食べている姿を見て、うっとりとしたことなど、一度も無い。
それは、ケーキを食べる竜崎をずっと見続けてはいたけれど。
あれだけ貪るようにケーキを食う人間を目の前にすれば、誰だって嫌そうに目を向けるだろう。

結論。
よって、月は竜崎に対し、何も求めてはいない。
そんなことも解からないのかと、世界の名探偵Lを、松田は危ぶんだ。




「松田さん、ちょっといいですか?」
「ん?何だい、月くん?」
「訊きたいことがあるんです。」
「何?僕で解かることなら、何でも答えるけど。」
「…あの、僕が竜崎に対する態度って、どう感じますか?」
「どう…って、そりゃ…」
「や、やっぱり解かっちゃいますか?!」
「うん…。あれだけあからさまに嫌が、…」
僕が竜崎を意識しているの、バレバレですか…?!うわぁ、どうしよう…。
 天然鈍感な松田さんが気付いているんだから、竜崎も気付いてますよねぇ…。
 うぅ…、竜崎にどんな顔して会えばいいんだろう…!」
「…………」

男にしておくのが勿体無いと思うほど可愛い顔が、更に可愛く見えるように赤面させている月。
恥らっているその姿を見て、松田は思った。

――竜崎って、本当にすごい世界の名探偵Lなんだなぁ…と。
月のことなら、何でもお見通しですよ!竜崎は!

...20050918
×おしまい