強烈にニア→月です。
しかも
残念な変態が多数出てきます。
シリアスじゃないけど、ライトがとっても哀れな感じですが、大丈夫って方。どうぞ。
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念には念を
それはYB倉庫に入った途端だった。
「ジェバンニ!作戦Gです!」
「え…?――…うわっ!!」
――ばす、がっ、どかーん!!
ものすごい大音響が響いたかと思うと、辺りは煙で充満し、月は意識を失った。
月が次に目を覚ました場所は、やたらメルヘンチックなレースを編みこんだ天蓋つきのベッドの上だった。
隣を見ると、Lと思しきお面をつけた誰かが自分を覗き込んでいる。
「ニア、か?」
「正解です。」
何が、正解だ。ふざけているのか?
「何の真似ですか、これは。」
自分たちは、ニアが見せたいものがあるということでYB倉庫で落ち合い、Lvsキラの対決の決着をつけようとしていたはずだ。
プライドを掛けた、世紀の対決である。
それが…
「やってきた我々を突然襲撃し、拉致監禁。私たちを騙したんですか?」
倉庫内を満たしたあの煙は、おそらく催眠ガスの一種だったのだろう。
Lの後継者が、まさかこんな卑怯な手段をとってくるとは思っていなかったので、油断した。
「しかも、こんな恰好をさせて。貴方は何をしたいんですか?」
月は
どこの国のお王子様なのかというような、大変少女趣味な煌びやかな衣装を身に纏っていた。
つまりは、意識がない内に身ぐるみをはがされたということになる。
ノートの切れ端を仕込んであった腕時計も外されていた。
(Lの後継者とは、この程度なのか?
確証もなく僕を監禁し、それで事件解決?笑わせる。)
今までの状況だけでは、まだ月がキラだという証拠もないはずなのに。
相沢と松田が倉庫内を見に行った際に、疑うべきだった。
あの時彼らは明らかに様子がおかしかったのだ。
「その服はリドナーが選んでくれました。」
「Lの後継者が聞いて呆れますね。Lは、竜崎はこんなやり方、」
「
大変よくお似合いです。」
「決して認めな――…はあ?」
どうにも会話がかみ合わない。
格好なんて、今はどうでも良い問題である。
お面を被っているので、相手の表情を読み取れないのが悪いのか。
「失礼。」
月は相手のお面を引っぺがすことにした。
ニアと思しき人物は、抵抗することなく、されるがままになっている。
お面の下からは、小奇麗な顔が出てきたのだが…
「…身体の具合でもオワルインデスカ?」
思わず片言になってしまうのには理由があった。
「これは失礼。思わず…」
「思わず?!」
ニアは、普通にしていればそれはそれはイケメンだろうという顔を、これでもかと崩し、
涎を垂らしていたのだった。
とったお面にも繋がった己の口元の涎を長めの袖で拭うが、刺すような視線を月から外すことも、にやけ顔が直ることもなかった。
なんとなく、そんな感じにデジャヴを感じた月。
(ま、まさか…)
嫌な予感が体中を駆け巡る。
「夜神月、さん。初めまして、ニアです。」
「…………」
「Mr.模木が貴方の話を始めた時は、頭がおかしいのかと疑ったのですが。
いやはやまさかこれほどとは。」
「模木さんが、何を?」
「確か…
『夜神月の話が聞きたい?いいでしょう……。
ライトたんは日本捜査本部のオアシス!天使なのですっ!
その麗しさたるや、むさ苦しい男所帯の中にありながらキラッキラと輝きを放ち、
我々に毎日活力をくれる存在!ああ、ライトたんなしではもう、生きられない!!
貴方達も一目見た瞬間に恋に落ちる、これは絶対です!
さらに云えばライトたんは…、』」
「
もういいです。」
「無口なMr.模木があれほど饒舌に語るので、もしもの事態を想定し、催眠弾を用意しておきました。
よかったよかった。」
よくねーよ!
模木、絶対殺す。ノートに「服を脱ぎ散らかしひょっとこ踊りをしながら道の真ん中で凍死」って書いてやる。
そんな決意はしかし顔には出さず、月はニアから少し距離をとった。
ニアがにやけ顔のまま、月に手を伸ばしてきたからだ。
「な、なんですか?」
「キラがこんなに美人だとは思っていなかったので。」
「私はキラではありません。」
「これからは私のものです。大切にします。」
「人の話を聞け!」
王子服のリボンをどうやら解こうとしていることを察した月は、ニアの手を叩き落とした。
叩かれた手を撫でながら、やれやれとニアはため息を吐いた。
「貴方がキラですよ。だって後ろに、ほら。」
「え?――うわっ!」
「はーい、捕まえました。」
月が振り向こうとした一瞬の隙を突き、ニアは月を押し倒すことに成功した。
「良い眺めです。」
「は、離せ!卑怯だぞ!なんで、こんな…」
「体格では勝てそうにないので、まずはマウントポジションをゲットしなければならないと思い、思わず行動しました。
ですが、『後ろ』と云ったのは騙そうとしたわけではありません。」
「じゃあ、何だ?!」
「貴方の後ろ、死神が居るんですよ。」
「なっ……」
死神、リュークのことだろう。
それが見えるということは、本物のノートを触ったということを意味する。
そんなまさか。
本物のノートは今日まで外に出さないように魅上に指示しておいた筈である。
それなのに、死神が見えるということは…
「魅上が裏切りを…」
「魅上?」
「! いや…」
魅上のことを知っているのは、キラだけである。
思わず口を滑らせた月は、とっさに誤魔化すことにした。
「
み、みかんが裏ごしされたものをと云ったんだ。喉が渇いたので…」
「なーんだ。喉が渇いたんですね。――ジェバンニ!」
非常に苦しい言い訳だったが、どうやらニアは納得したようで、大きな声で誰かを呼ばわった。
その声に応えるように扉が開き、これまたなかなかのイケメンが段ボールを抱えて部屋に入ってくる。
彼はおもむろに段ボールを展開すると、中に入っていたみかんを剥き始め、あっという間にみかんのフレッシュジュースを作り上げたのだった。
「どうぞ。」
「御苦労さまです。」
ベッド脇のこれまた少女趣味のアンティークテーブルの上に、ワイングラスが2つ並べられた。
もちろん、中身は出来立てのミカンジュースである。
「
何だ今の?!」
ジェバンニのあまりに手際のよい行動に、己の状況も忘れ思わず見入っていた月は、ジェバンニが部屋を出たことでようやく突っ込みを入れる。
恐ろしいことに、
ジェバンニはミカンジュースを作っている際、一切手元を見ていなかった。
月だけを見つめ、あまつさえ微かに頬を染めながら、実に手際よく作業を終え、彼は去って行ったのだった。
「気持ち悪っ!」
「まったくです。
が、彼の気持ちも解かります。」
「はあ?!」
これだけ美しいんです、仕方ないですよね。と平然と云ってのけるニアに、月は薄ら寒いものを感じた。
(まずい…!こいつらは、同種だ!)
月の脳裏に、遥か昔に消し去ったはずのストーカー、もとい敵だった竜崎の姿が浮かんだ。
大学で付き纏い、手錠生活でべた付かれ、死ぬ間際まで月に執着していた竜崎。
(
Lの後継者とは、こういうことだったのか?!)
数年ぶりに感じる悪寒に、月の全身に鳥肌が立った。
しかも今回の相手は1人ではない。
絶体絶命大ピンチ。
更に、どうしたわけか死神が見えているという。
死神はノートではなく、所有者につく。
この場にノートがなく、ここに死神がいるとなれば不自然だ。
誤魔化しようがない。
視線を泳がせ死神を探す。
まだニアのハッタリの可能性もある。まずは確かめなければならない。
しかし残念ながら、リュークはすぐに見つかった。
「
なんでリンゴ食ってんだ、お前!?」
『ライト、すげーぞ!これ全部違う品種なんだって!全部うまい!』
「ああ、リンゴがお好きというので。これもジェバンニに用意させました。」
『アイツすげーな!見ろ、ライト!俺の手よりでかいのもある!!』
嬉しそうに報告する死神を、こんなに殴りたいと思ったのは初めてだ。
しかし、そんなことに怒っている場合ではないことに、月はすぐに気付いた。
「――ぁ、んっ!!」
「可愛い声で啼きますね。もっと聞かせてください。」
いつの間にか着ていた王子服が肌蹴させられており、ニアは嬉しそうに月の鎖骨に歯を立てていた。
これまた覚えのある流れに、月は戦慄した。
「や、やめろっ…」
「怖いんですか?可愛いですね。
大丈夫です、優しくします。」
「違ーうっ!」
言動まで似ている。
「一目惚れって、本当にあるんですね。我ながら吃驚しました。」
「知るかっ!…ゃ、ぁ…!」
『相変わらずモテるな、ライト。』
死神から嬉しくない声援を受けながら、月の空しい抵抗は続いた。
美しさは、罪(笑)
こんなラストで、ぜんぜんよかったのに。
ニアがこんなに攻めたの、初めてだ。
そうか、
変態にすればこんなにニア月は書きやすいんだ!
ということを学習した。えらいぞ、私!
ちなみに、「作戦G」とはげっちゅーの略です。
...20160429
×おしまい