完璧なる者
容姿端麗。
成績優秀。
おまけに性格も良くて、人望も厚いときてる。
可愛い彼女も複数いて。
それでいて、それらを鼻にかけることもなく、慎ましやかなところもある。
それが、夜神月という男。
そう、彼は本当に完璧な人間なのだ。
「ありえません。」
「何が?」
隣では、パソコンから目を離すことなく、真面目にキラ捜査を続ける夜神月の姿。
一方、私はというと、松田に用意させたプリン・ア・ラモードをいつもの姿勢で食べている。
今ここに、新しいヒトが捜査に加わったとしたら、私と彼、どちらをLだと判断するだろうか。
自分で考えておいて、あまりに楽しくない予想に目を眇めた。
「月くんには、苦手なモノとかないんですか?」
「苦手なモノ?そうだな、特には…ああ、でも極端に甘いモノは苦手かな。」
角砂糖そのまま食べちゃうのとかさ、と云って夜神月は笑った。
ただ真面目なだけでなく、相手を楽しませるユーモアセンスも持っている。
こういうのを社交性というのだったか。
私には持ち得ない特性だ。
「やっぱり、ありえません。」
「だから、さっきから何なんだ?」
人間、どこか欠点があって当然な生き物。
いや、欠点があるからこそ人間といえるはずなのだ。
それなのに、夜神月という男、どこを探しても欠点が見つからない。
実際、大学に行ってみて、私はそれを目の当たりにした。
だから余計に信じられないのだ。
こんな完璧な人間なんていない。
絶対に、何かあるはずなのだ。
「――というわけで、抱かせてください。」
「………何が、“というわけ”なんだ?」
「だから、貴方の完璧を打ち崩したいんです、私。」
「だから、どういう結論に達すると、“抱かせてください”になるんだと訊いているんだ。」
「ああ、それは簡単なことです。もう抱く以外に、方法がないんです。」
「…………」
「これほど完璧なんです。
きっと、私がまだ見ていない所に貴方の欠点が隠れているに違いない。
私は、絶対それを見つけてみせます!」
「……断る。」
「何故?!」
「当たり前だろう!誰が好き好んで、男に抱かれるものか!!」
「……とかなんとか云って、本当は自信がないのでしょう?」
「はあ?!そんなわけあるか!」
「だったら、何の問題もないじゃないですか。
貴方は私に、完璧であることを証明できる。私は貴方の欠点を検証できる。ね?」
「ね?じゃない!
だとしたって、どうして僕が、お前に、抱かれなければならないんだ!?」
「ああ、心配しなくても大丈夫です。私、巧いですよ。
いい仕事します。」
「
えっ///……じゃなくて!お前がう、巧いとかそういうの関係なくだな…」
「もういいじゃないですか。討論しても平行線です。
面倒ですから、大人しく抱かれてください。」
「うわぁっ…!」
松田がプリン・ア・ラモードを置いていった後、施錠も既に済んでいる。
ワタリに、誰が来ても部屋に通さないようにも伝えてある。
ホテルのスウィートルームは私が貸切ってあり、大声上げても他の客に迷惑を掛ける事はない。
まさに、条件は整っているのだった。
「では、
いただきますv」
「いただかれてたまるかー!!……ぁっ…」
「……ありえません。」
「……まだ云うか…」
夜神月を抱いてみて、結論を云おう。
――彼は、やっぱり完璧でした。
何故?何故なんですか?
押し倒し、無理やり脱がした時の、反抗的な瞳。
イイ所を探っているときの、快楽に耐えるその顔。
押し殺そうとしても、耐え切れず漏れてしまった嬌声。
引き締まったその白い肢体は、強く触れると紅く熟れて、更に扇情的になり。
嗚呼、もうどこまで煽れば気が済むんだ!と云わんばかりの完璧さでした。
「いえ。――実は、この結果を、私はある程度予想していました。」
「……だったら、やるなよ!」
「だから、これで結果が得られなければ、今度は『抱いてくれ』というつもりだったんです。」
「だ、誰がお前なんか…!!」
「――が、それは止めることにしました。どうせ実行しても、同じ結果が得られるだけ。
…というよりも、」
「?」
「こんなに気持ちイイとは思いませんでした。
――もう1ラウンドいきましょう。」
「な、何っ…?!」
「心配しなくても大丈夫です。
私、まだまだいけますので。もっといい仕事しますよ。」
私はどうやら、完璧な夜神月に、完璧に惚れてしまったようです。
抱いてみて、ようやくそのことに気付けたので、今回はそれでよしとしましょう。
月:「苦手なモノ、あったよ。」
L:「何ですか?」
月:「お前だよ!」
L:「最高の誘い文句ですね。」
...20050707
×おしまい