まな板の上の鯉
「心理テストです。」
「突然何ですか、月くん?」
「貴方はまな板の上の鯉です。今まさに、板前さんに調理されようとしています。
そこで一言、鯉が板前さんに何か云いました。何と云ったでしょう?」
「鯉は喋りませんよ。それに、鯉ヘルペスが…」
「いいから、鯉のつもりで考えてみろ。」
イキナリ何なんだ、と竜崎は作業の途中だが手を止めて、親指を噛んで考えた。
折角月くんの機嫌がいいのに、質問に答えなかったことくらいで悪くしてはいけない。
私はまな板の上の鯉、今まさに調理されようとしている。
だとしたら、できれば調理はお断り願いたい。
食べるのが月くんならばそれもまたいいが、もし他の、松田なんかだったら屈辱だ。
いや、板前もそうだ。
月くんのあの繊細な奇麗な手で触れてもらい、じわじわの調理されるのであれば、喜んでこの身を捧げよう。
きっと、快感の中で死に逝ける。
しかし、月くんでなければ、それはやはり苦悶の中の拷問となるだろう。
その前に、私は一体どんな調理をされるんだ?
鯉料理といえば、刺身や鍋、煮物が定番だ。
つまり、どのみちまずは切断されることになる。
大体、何か云える状態にあるということは、私はまだ生きているのか。
ということは、生きたまま切られるのか?
それは嫌だ。
絶対に痛いに決まっている。
是が非でも、調理は止めていただく他はない。
色々と考え、答えが出た。
竜崎は咥えていた親指を離し、その手で月の髪を掻き乱した。
「『申し訳ありませんが、私は食べられたくありません。
それにきっと、私はおいしくありませんよ。
月くんならばとっても美味でしょうが、だとしたら私が食します。』
と云って、板前を説得し止めさせます。」
「長い一言だな。」
髪をくしゃくしゃにされ、不機嫌そうに下から睨みつけながらも、月は口元をニヤリとさせた。
望んだ答えが聞けて、満足したのだ。
「それで、これでどんな心理が解かると云うんですか?」
「ああ、答えを教えてやろう。
その言葉は、貴方が初体験の時に相手に云う言葉…なんだそうだよ。」
「そうなんですか?でも私、月くんとの初体験の時、そんなこと云いませんでしたよ?」
「まあそうだな。でも、今はそれは大した問題じゃない。」
「というと?」
「重要なのは、今の状況だ。」
「……ま、さか?」
「『私は食べられたくありません』、『私はおいしくありません』だったっけ?」
「あの、それは、ただ自分を鯉に置き換えただけでして…」
「というわけで、僕はお前に
フェラする必要がないということになるな。
だって、食べられたくない上に、おいしくないんだろ?
そんなこと云われちゃうと、さっきは仕方なく了承したけど、僕はやる気をなくしたよ。」
「月くん!!」
「1人でトイレに行って、抜いてこい?」
「~~っ!!」
そういうわけで、と云って、月は手を添えていた竜崎のナニを放り出した。
今まさに咥えようとしていたところだったのに。
嫌だ無理だというところを、どうにか説き伏せ、たくさん策を労し、ようやく了承してもらえたというのに。
いっぱいいっぱい、ごっくんしてもらおうと思ってたのに。
まな板の上の鯉のバカ!!
「月くんの卑怯者ぉーー!!」
「卑怯で結構。」
鯉(竜崎)、恋われるも(月が)、壊れる(玉砕)。<ムリヤリ?
月の初フェラ失敗談。竜崎残念(笑)
...20051111(ポッキー&プリッツの日)
×おしまい